こんにちは!戸塚区の歯医者、酒井歯科診療所、院長の酒井穣です。

今回は「フッ素が重要なのはなんとなくわかるけど、なぜ重要なの?」

についてお話をしていきます。

 

「フッ素は虫歯予防にいいらしいけど、どうして?」

 

そんな疑問を持つ保護者の方や大人の患者さんが増えています。

 

フッ素(フッ化物)は歯の表面を強化するだけでなく、虫歯菌の活動をブロックし、溶けた歯を元に戻す再石灰化までサポートする万能選手です。

 

本記事では、子供から大人まで役立つフッ素の働きと、安全で効果的に使うコツをわかりやすく解説していきます。

 

1.フッ素とは?身近にあるミネラル

 

フッ素は地球上の岩石や海水、そして私たちが毎日飲む水にも微量に含まれる元素です。

歯科で取り扱うのは「フッ化物」という化合物形態です。

ナトリウムやカルシウムと結びつくことで安定し、歯の表面(エナメル質)に化学的バリアを築く働きをします。

 

2.フッ素が歯に与える3つのチカラ

 

・再石灰化の促進

 酸で溶け出したカルシウム・リンを歯に再沈着させ、初期虫歯を修復します。

 

・エナメル質の強化

 エナメル結晶に取り込まれ、酸に溶けにくいフルオロアパタイトに変換します。

 

・虫歯菌の活動抑制

 虫歯菌が糖を分解して酸を作る酵素をブロックし、酸産生を減らします。

 

 *これら3つが連動することで、虫歯リスクは低減すると報告されています。

 

3.子供の歯に効く理由と最新データ

 

萌えたての乳歯・永久歯はエナメル質が未成熟でやわらかく、虫歯菌の酸に溶けやすい状態です。

 

フッ素を表面に取り込むと、フッ化カルシウム(CaF2 )という保護層が形成され、酸への抵抗力が飛躍的にアップします。

結果、虫歯菌への抵抗力が高まり、虫歯になりにくくなります。

 

4.大人にもメリットが大きいケース

 

・歯ぐきが下がって、根が露出している方

 根の表面のセメント質は歯の表面のエナメル質の⅕の硬さです。

 やわらかいので、汚れはつきやすく、虫歯になりやすいです。

 また、虫歯になると、進行が早いのが特徴です。

 虫歯への抵抗力が弱い根の表面をフッ素がガードします。

 

・口が乾きやすい方(ドライマウス)

 唾液が少ないと、再石灰化が遅滞します。

 フッ素がその不足分をカバーし、再石灰を促進します。

 初期虫歯COに効果的です。

 

・虫歯を繰り返す方・矯正装置が入っている方

 プラーク停滞部位にフッ素を届かせることで、局所的防御が可能です。

 歯磨きの苦手な部位や、歯ブラシの毛先が届きにくい矯正器具の周囲に効果的に 働きます。

 

5.歯科医院と家庭でのフッ素応用法

 

場所 濃度(ppm) 頻度 特徴
歯科医院 9500~11,000 3~6ヶ月に1回 高濃度でも、プロが塗布するので安全。うがい不要で、乳幼児OK。
自宅(歯磨き剤) 1000(6歳未満)

1450(6歳以上)

毎食後 米粒〜歯ブラシ全面量で満遍なくブラッシング。
自宅(洗口液) 225~500 就寝前1回 ブクブク30秒→吐き出す。飲食は30分控えると効果UP。

 

・ポイント

 歯磨きの後は、少量の水で1回だけ軽くうがいするだけに留めて、フッ素を流し過ぎないようにしましょう。

 

6.フッ素は安全?よくある質問Q&A

 

Q.フッ素中毒が心配です

 

A.歯磨き剤に含まれる量を全量飲み込んでも中毒域には届きません。製品の使用量 を守れば安心です。

 

Q.ホワイトニング効果はありますか?

 

A.フッ素自体に漂白効果はありませんが、表面を強化し着色をつきにくくします。

 

Q.高濃度フッ素は子供に使えますか?

 

A.歯科医院で塗布する高濃度フッ素は、うがい不要のため、乳幼児でも安全に使用 できます。

 

7.まとめ

 

フッ素は「歯を守る3本柱」

 

再石灰化・エナメル質強化・虫歯菌抑制

 

フッ素は子供も大人も虫歯リスクを大幅に下げてくれる頼もしい味方です。

歯科医院での定期的な高濃度フッ素塗布と、毎日の歯磨き剤&洗口液の併用で、

“虫歯ゼロ“を目指しましょう。

気になる方はお気軽に当院まで、ご相談ください!

 

酒井歯科診療所